河村容治のインテリアコラム 今から学ぶ、インテリアコーディネート・トレーニング

第37回 挑戦してみよう!店舗のファサードデザイン(1)

今回は実際に仕事を依頼されたと仮定して、店のイメージを一新するリニューアル案を提案してください。
与条件を整理しコンセプトを立て、さらにイメージスタイルを活用してその店にふさわしいファサードをデザインしてください。利用者から愛される店をめざして挑戦してみてください。

現状写真

  • 全景1

    全景1:学生ホール客席から店舗を見る。
    営業時間外は全体にシャッターが下りる。

  • 全景2

    全景2:壁左側、商品陳列棚。
    正面奥、カウンター。


  • 店舗左側

    店舗左側:壁に面した陳列ケース、
    左側が飲料水、
    右側がアイスクリーム、スナック類、
    手前がパンの陳列棚。

  • 店舗正面

    店舗正面:正面奥カウンター廻り。
    カウンターの下にカップ麺とポット。
    右側に食器返却口、ゴミ箱が見える。


  • 店舗右側

    店舗右側:カウンター右側、レジ廻り。
    カウンターの下におにぎりが並ぶ。


現状図

  • 右側の部屋はパン工房。カウンター内側に厨房機器が並ぶ。カウンターの両サイドに自由蝶番の出入口。
  • 鳥瞰図

    鳥瞰図

  • 平面図

    平面図


店舗現況

  • (1)店舗概要

  • T 大学・学生ホール売店 立地:都内中心市街地に位置し、校舎3棟からなる小キャンパス。
    学生1200人と教職員80名が利用、外部からの一般客の利用も可能。
    学食は別棟にあり、競合するので本格的な料理は出さない。飲み物の自動販売機は別に2ヶ所ある。
  • 間口:9.5m、奥行:6.0m、天井高:2.4m 面積:57m2 学生ホール客席:250席
  • (2)取扱商品

  • パン、スナック:開店時に焼きたてが食べられる。パンはすぐ売り切れる。
  • インスタント食品:お湯や電子レンジを用意。飲み物:他の自動販売機より種類が豊富。
  • 食事:カレー(360円、毎日20食用意、追加可能、混雑時をさけると食事メニューはカレーしかない)
       丼物(360円、日替りメニュー1種類、毎日20食用意、すぐ完売)
       サラダ(80円、毎日5食用意、すぐ完売)、その他、おにぎり(すぐ完売)、予約制の幕の内弁当
  • (3)営業時間

  • 平日:8時30分~17時(授業時間:9時~18時15分)
  • (4)スタッフ

  • 1~2名、状況に応じて増減。接客に対して、客からの評価は高い。

利用者からの感想・意見・要望

※矛盾する意見もありますが、多い意見や希望は、両者を記載。

  • (1)店のイメージ

  • 簡素。
  • 食事をするにはメニューの種類が少なく、軽食が中心。
    焼きたてのパンやお菓子、飲み物が買えるので小腹を満たしたい学生には大切な存在。
  • (2)一回に使える金額

  • 圧倒的に500円以下が多い。
    続いて300円以下、400円以下、200円以下、700円以下、1000円以下が続く。
  • (3)よく購買する商品

  • 飲み物、パン、カップ麺・春雨スープ、ヨーグルト
  • スナック菓子・チョコレート・ガム・グミ・プリン、アイスクリーム・ソフトクリーム、クッキー
  • カレー、日替り丼、おにぎり、サラダ、たいやき・今川焼・肉まん・ピザまん
  • (4)扱ってほしい商品

  • 圧倒的にコーヒーの要望が多い、野菜サラダ、弁当、スープが続く。スイーツの要望も多い。
  • ホットスナック(フランクフルト、チキン、ポテト)、おでん、豚汁、揚げ物(コロッケ・メンチカツ)
  • カップ麺・パン・おにぎりの種類多くしてほしい、菓子パンでないパン
  • 売れ残り商品の安売り、学食と同じ食事メニュー
  • (5)扱う必要のない商品

  • ソフトクリーム機、自販機が近くにあるので飲料
  • (6)日頃不便と感じている事

  • 店舗が狭いので、昼食時混雑する。すぐ行列ができ、人の流れが悪い。
  • レジとカレーなど商品を受け渡す場所が近いために動きづらい。
  • 混み合うと商品が見えにくい。レジの数が少ない。ポットの位置がまずい。
  • 食べ物の種類が少ない。食事はすぐに売り切れる。ヘルシーなメニュー不足。
  • 菓子パンが多く、甘いものは控えたいひとには選択肢が少ない。パンを焼き足してほしい。
  • カップ麺のお湯が足りない。
  • 営業時間が短い。
  • スタッフが少ない。

課題条件

  • (1)目玉商品を企画する

  • (2)店舗名を考える

  • (3)ファサードをデザインする(イメージスタイルを一つ選び、空間を演出する)


次回は、今回の課題に対する解説とフォローを行います。どうぞご期待ください。


作者プロフィール

河村容治(かわむらようじ)

元東京都市大学 都市生活学部教授 博士(美術)、一級建築士、日本インテリア学会理事 CAD/CGによるインテリアデザイン教育に力を注ぐ

主な著書

「インテリアデザイナーNeoによる 一歩先行くインテリアプレゼンテーションテクニック」(共著・メガソフト)/「3DマイホームデザイナーPROで学ぶインテリアコーディネートトレーニングブック」(BNN)/「3Dインテリアデザイナーによるインテリアコーディネート入門」(技術評論社)など多数

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