河村容治のインテリアコラム 今から学ぶ、インテリアコーディネート・トレーニング

第25回 用途に応じた照明の配慮(2)

住まいの照明計画で、用途によって配慮すべきポイントをまとめてみました。

キッチン

  • 蛍光灯やダウンライトで全体の明るさを確保し、吊戸棚などの下に手元灯を設置し、手暗がりにならないようにします。

    食べ物を扱うスペースなので、色温度が高くならないように、蛍光灯の場合は電球色等を使用します。
  • キッチンに最適な照明

    キッチンに最適な照明

食堂

  • ダウンライト等の全般照明で明るさを控えめに取り、食卓中央にペンダントを吊り、明るさを集中させます。
    ペンダントは、テーブル面より70cm程度上部に設置します。

    色温度の低い演色性の高いランプを利用し、色温度の高い青みがかった色の蛍光灯は料理の見栄えが悪いので避けます。
  • 食堂に最適な照明

    食堂に最適な照明

居間

  • ダウンライトを調光して多目的な用途に対応できるようにします。間接照明(建築化照明)を用いると部屋全体を柔らかな印象にまとめられます。

    作業に必要な明るさはフロアスタンドで補います。低い位置にフロアライトを置くと落ち着いた雰囲気を演出できます。
  • 居間に最適な照明

    居間に最適な照明

  • 天井に設けた間接照明例、コープ

    天井に設けた間接照明例、コープ
    天井とのクリアランスや光源の取り付け位置によって表情が微妙に変わります。
    (資料提供:遠藤照明)

老人に対する配慮

  • 老化で目の順応機能が低下するため、明るいところと暗いところの差が大きくならないよう注意し、全体的に照度を確保します。廊下等の移動や作業時なども暗くならないように気をつけます。夜間のトイレへの移動のため、足下灯を設置します。

    その他、不快な眩しさに注意すること、目にやさしいこと、階段や廊下は安全を確保し、ほどよい陰影効果をつくること、作業するときは手元をできるだけ明るくすることなどが重要です。またメンテナンスが楽なように配慮する必要があります。
  • 老人に配慮した照明

    老人に配慮した照明

作者プロフィール

河村容治(かわむらようじ)

元東京都市大学 都市生活学部教授 博士(美術)、一級建築士、日本インテリア学会理事 CAD/CGによるインテリアデザイン教育に力を注ぐ

主な著書

「インテリアデザイナーNeoによる 一歩先行くインテリアプレゼンテーションテクニック」(共著・メガソフト)/「3DマイホームデザイナーPROで学ぶインテリアコーディネートトレーニングブック」(BNN)/「3Dインテリアデザイナーによるインテリアコーディネート入門」(技術評論社)など多数

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