すっきりとした事務スペース。個人の荷物はロッカーや机の下に、パンフレットなどは倉庫にしまうことで、秩序が保たれる
段ボール1箱ルールの厳格な運用
第2章で紹介したように東京オフィスでは、なんとなく長年置かれていた大量の資料や荷物を廃棄する「断捨離プロジェクト」を行っていました。これで大幅に引越し荷物を減らすことができたものの、移転直前になって「社員個人で管理していた資料など、多めに持っていかせてほしい」という声が一部の社員から上がりました。
しかし移転委員会は「個人が管理する荷物は、1名につき段ボール1箱まで」というルールを厳格に守りました。例外を認めると、収拾がつかなくなることを懸念していたためです。移転直後は快適なオフィスでも、やがて散らかってしまっては意味がありません。
第2ラウンド断捨離の効果
第1回の“断捨離”から数ヶ月が経過し、一度は残す判断をした資料や備品の中にも「やはり必要ない」と決定が変わる物品も続出しました。
難航したのは、すでに退職した社員が残した物品の処理でした。多くの企業でも、同じように誰に紐づくものなのかが不明の備品に悩んでいるのではないでしょうか。
現在の業務に直接関係ないと思われるものの
- 「もしかしたら必要になるのかも」
- 「本当に不要だとジャッジできない」
- 「あとで必要になったときに責任を問われても困る」
との考えから、取り残されていたものが多数ありました。
移転委員会には、総務、開発、営業という各部署から選出されたメンバーがいたため、彼らが自らの手で「捨てる」と決断したものも少なくありません。
誰だって「絶対二度と使わない」などと断言するのは難しいです。しかし、いつまでも過去に捉われるのではなく、新しいオフィスで新しい未来をつくるのだという気持ちで、基準を示したつもりです。
新オフィスの快適性を守るための毅然とした対応は、他の社員からも支持されるようになり、移転準備が進むとともに社員の間に「不要なものは手放す文化」が定着してきました。
段ボールには中身を記載しておく
多くの引越し業者は段ボールに、新たな配置場所を示す通し番号(ナンバリング)のみを記載します。これに対して、メガソフトでは中身を詳細に記載することを徹底しました。「展示会備品」「日常業務用」「文房具」など、開梱時の判断をしやすくする情報を記載することで、新オフィスでの業務再開がかなりスムーズになりました。