構造チェック ワンポイント講座

付録「耐震に関するQ&A」

  • 建築基準法が改正されたということですが、今建っている家は、新しい建築基準法に適応しているのですか?
  • 建築基準法の改正の大半が、構造上の改正であるといっても良いでしょう。
    もちろん法律の性格上、新築や増築・改築など行政庁に申請をあげる場合には新しい基準が採用されるのですが、既存住宅には古い基準で建てられたままのものが多くあります。

  • 古い建物の耐震強度は問題ありませんか?
  • 各地方行政庁で、既存建物の耐震診断を進めるように指導しているのですが、実情は強制ではないため一般化しておりません。
    実は阪神・淡路大震災などで倒壊した建物の多くは古い基準で建てられたものであったことは確かです。

  • 耐震診断を行う目的は何ですか?
  • 地震大国日本では、地震を避けては通れません。新潟や神戸の地震を見るまでもなく、居住する人たちの安全確保とライフラインの保全が、建築物の大きな要素です。

    今回は木造住宅の在来工法に限定し、しかも簡易な検討ですが、構造の大事さを認識していただくために、3Dマイホームデザイナーの耐震診断(簡易構造診断)を利用していただければと思っています。
    ただ簡易とはいえ最低限2階建て住宅(木造在来工法の住宅)を建てられる場合の、建築基準法・建築基準法施行令及び告示等の大事な部分を反映させたものとなっているので、耐震診断を使用していただき、少しでも安全な住宅が増えるように願っています。

  • 耐力壁とは何ですか?
  • 壁が変形するのを防止するための柱と梁で囲まれた四角い部分に配置するものです。

    耐力壁には、「筋交い(すじかい)」と「構造用合板」の2種類があり、柱の間に斜めに木材を取り付けたものを筋交い(すじかい)、柱と梁で囲まれた四角い部分を板で隙間なくふさぐものを構造用合板といいます。

    筋交い(すじかい)については、「構造チェックワンポイント講座 第1話 知ってて安心!構造の基本」でご説明しています。ぜひご覧ください。

  • 耐震住宅と制震、免震住宅の違いは何ですか?
  • 地震に対応する方法として耐震、制震、免震との3つに分けて考えることができます。

    耐震の考え方は、古く大正時代の関東大震災からの教訓に基づき制定された法規に規定されたものです。何度かの大改正を経て、かなり信頼度の上がったものとなりました。
    建築コストなどそれぞれの選択の条件を自分なりにお考えいただく材料として、3Dマイホームデザイナーをご利用いただければと思います。

    耐震 建物に加わる地震力に耐えるだけの強度を備えた住宅を設計すること。
    筋交い(すじかい)や構造用合板などでできた耐力壁のバランスと強度で、建物を支える。

    制震建物に加わる地震力を低減するのではなく、抑制するための工法であり、金物などを使って加わった地震力をできるだけ吸収し、抑えること。

    免震建物に加わる地震力そのものを免震用の部材(建物と基礎との間に設置する)で低減し、建物自体に伝達させない方法。
    ビルや大きな建物に使われているが、最近住宅用のものも見られるようになってきた。特殊な技術のため、コスト的には割高。
    また免震住宅とはいえ、耐力壁がまったく不要というわけではない。

  • 耐力壁を入れるとコストは上がりますか?
  • 耐力壁のコストは、建築費のおおよそ「2〜3%」くらいになります。

    参考として、実際のコストは下記の通りです。

    • 筋交い(すじかい)の場合は、土台+柱+はり+筋交い+釘・その他金物+工賃=1ヵ所あたり12,000〜15,000円
    • 構造用合板の場合は、土台+柱+はり+構造用合板+釘+工賃=1ヵ所あたり15,000〜17,000円
  • 耐力壁はどのように配置すればよいですか?
  • 耐力壁は、各階の配置と上下階の配置のバランスを考えながら、必要な部位にだけ配置します。
    多く配置したからといってよいわけではありません。多く配置しすぎると、将来的な間取りの変更ができないなど、融通の効かない家になってしまいます。

    耐力壁の配置方法は、「構造チェックワンポイント講座 第2話 簡単!やさしい耐力壁の配置」でご説明しています。ぜひご覧ください。

  • 現在、計画中の家の安全を調べたいけど、どうすればいいの?
  • 建築士にご相談ください。耐力壁の場所が分かれば、3Dマイホームデザイナーの耐震診断(簡易構造診断)で安全を確認することはできます。

  • 今住んでいる家が安全かどうか調べたいけど、どうすればいいの?
  • 既に建っている家は、耐力壁の場所と強度の調査が必要です。年数による老朽化なども懸念されますので、3Dマイホームデザイナーによる耐震診断(簡易構造診断)はできません。

    各都道府県の防災協会にご相談ください。

  • ハウスメーカーで建てる家の診断はできますか?
  • 3Dマイホームデザイナーの耐震診断(簡易構造診断)は、木造住宅の在来工法を中心としたものです。

    ハウスメーカーで家を建てる場合は、工法が異なることがあります。その場合は診断できません。

  • 集合住宅・アパートの診断はできますか?
  • 既に建っている建物だとできませんが、木造在来工法を対象としているため、その範囲内なら診断可能です。

  • 現在建築中の家の強度が足りないようなのですが……。
  • 建築士が別の方法で工夫して施工されている場合がありますので、診断結果をもとに建築士にご相談ください。

  • 設計図通りの施工がされているか不安です。
  • 設計監理の責任を持つ建築士に信頼して任せるのが基本です。

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