With & Afterコロナのオフィスはこうなる!

With & Afterコロナのオフィスはこうなる!

新型コロナウイルス対策として、テレワークやソーシャルディスタンスが定着化していっている今の時代。
オフィスの在り方も確実に変化しつつあります。
今回はオフィス設計のスペシャリストの方たちに、今後のオフィスについて質問してみました。

第三回

自社ルールを設けたオフィスレイアウト・オフィス運営に

パワープレイス株式会社 小出 暢 氏
お話をお伺いしたスペシャリスト

パワープレイス株式会社 小出 暢(こいで のぶ)氏(大阪府)
西日本デザインセンター 取締役 センター長

オフィスデザインのプロ集団、パワープレイスの新型コロナ対応

今日はよろしくお願いいたします。
まずは、オフィスデザインの専門家集団であるパワープレイス社、貴社オフィスでは新型コロナ対策はどのようにされていましたか?

小出氏:

緊急事態宣言中は、オフィス内のソーシャルディスタンス確保、在宅ワーク促進、クリーンオフィス、社内会合禁止、出張禁止、遠隔会議システム活用促進などさまざまな指示・ルールが設けられました。

現在も、持病のある者、高齢者と同居しているなど事情がある者などは在宅勤務が中心ですし、業務的に在宅が可能な者は在宅もOKとしています。
私は基本オフィスに来ておりますが、集中ワークや機密性の高いミーティングなどの実施の為、週2回程度在宅ワークをしています。

弊社オフィスと同じフロアの関連会社・株式会社内田洋行と合わせて出社率は50%くらい、営業メンバーは在宅ワークは実施していませんが、社外に出ていることが多いのでオフィス内の在席率は25%くらいですね。

今日は出社日で、このインタビューのために一人になれるスペースに移動して来ました。


オフィスレイアウト対策

わざわざ席を移動していただいているんですね。ありがとうございます。
さて、新型コロナ禍、オフィスレイアウトにソーシャルディスタンスは影響が大きいと思うのですが、限られたオフィススペースで2mを確保するのは難しいですね。

小出氏:

そうなんです。2m、本当に悩ましいですし、実際そういうオフィスレイアウトに関するご相談をたくさんいただいています。
最も一般的なデスクのサイズが1,200mmなので、そのままでは2mは確保できません。かといって面積も人数も変わらず2mを完璧に守ろうとすれば、オフィス全体のスペースが足りなくなります。

そこで、例えば自社ルールとして1,800mmを基本とする。そうするとレイアウトの可能性はかなり広がります。この20cmは貴重です。

ソーシャルディスタンスを自社ルール1.8mとすると

”貴重な”20cm。積み重ねると一人分のスペースを確保できるようになる


あるいは、座る位置やデスクの置き方を工夫すれば、正面を避けることができ、距離も確保できるでしょう。


着席位置やデスクの並べ方を工夫するとそれに近いディスタンスは保てる

着席位置やデスクの並びを工夫する

あるいは、四角形ではないデスクを導入すれば、よりランダムに着席できます。

例えば、5角形のデスクを組み合わせてランダムに着席すれば、密と正面の両方を避けることができる

5角形のデスクを組み合わせたデスクレイアウト例


一方で、通路など滞在時間の短いすれ違いのスペースに関しては、マスク必須を条件に標準的な通路幅のままででOKとする。

マスク着用を必須とし、通路幅は標準のままでOKとする、というルールもあり

参考:動作に必要な空間の目安(基準寸法)


そんな風にオフィススペースの事情や働き方を踏まえ、自社に合ったルールや基準を決めて実践していくのが良いと思います。

もちろん、飛沫防止用パネルを設置する、という方法もあります。
ただ、それは最終手段だと思っています。

打合せや会議スペースについてはいかがでしょう?
オフィスの中では、最も密になりやすい、悩ましいエリアだと思います。
新型コロナ禍だからこそのご相談や、対策などあればお聞かせください。

小出氏:

新型コロナ禍で特徴的だと感じているのは、「手で触れるところや床を拭ける素材にしたい」というご相談です。
会議室は社内外問わず多くの人が入れ替わり利用するスペースですので、消毒・滅菌のためにというのが理由です。
素材としてはメラミン、金属、ガラス、アクリルをお勧めしていて、実際に採用された企業も多いです。

アルコール消毒液(イメージ)

それに関連して、吸音パネルや吸音ボードの需要が増えています。

一般に狭い空間は音が壁に当たって反響しがちですが、これまでオフィスの会議室には布張りのチェアやタイルカーペットなどがあって、それらが吸音し反響を抑えていました。
ところが、先にあげたように"拭ける素材"に変えたことで、吸音してくれる素材が減り、反響するようになった、というのが理由です。

テレビ会議の音声が反響して気になるという場合は、吸音パネルや吸音ボードを設置すると解決すると思います。壁面に貼るだけの手軽なものもありますので、一度ご相談ください。


会議室ではないですが、打合せスペースも多くの人が利用するエリアです。
滞在時間が長引くことが多いようなら、よりオープンな空間にするなど検討も必要かもしれませんね。

人気のファミレス型ベンチシートカフェ並びのスペースに変更

また、テレビ会議は間違いなく増えていますので、今の私のように自席以外で作業ができる所も必要です。
ただ、ソーシャルディスタンスでこれまで以上にスペースが必要なので、そういうスペースを常設するのは難しいでしょう。

そうですね。なにか良い方法はありますか?

小出氏:

たとえば、キャスターがついた可動式の机にしてしまう、そんな方法もあると思います。
ひとり使いの可動式家具にして、その時々に合わせて移動する。まさにムービングオフィスですね。

可動式家具でムービングオフィス

テレビ会議のときはデスクごと窓際に移動して。ひとり使いの可動式家具ならそんな働き方も可能だ。

これからのオフィスのカタチ

オフィスの縮小化や、オフィスそのものをなくしてしまう動きなども報道されていますが、これからのオフィスはどう変わっていくのでしょうか。

小出氏:

オフィスのコンパクト化、分散型のオフィスが増えてくると考えています。

都心から離れた地域でサテライトオフィスの整備が進み、自宅に近いところをチョイスしてワークが出来る。テレワークが可能な業種・職種に限定されますが、このようなオフィスの分散化が進むと感じています。

さらに進めて、時間と場所にとらわれない働き方が主流となるのかもしれません。 地域には古いオフィスビルがたくさんあるので、そこをリノベーションして活用するのも一つの手だと思います。

働きやすいことが一番大事なので、よりABW化が進むのではないでしょうか。 このまま三密回避が続けば、大きなインテリジェントビルの存在意義は薄くなると考えています。

サテライトオフィスのイメージ。

なるほど。オフィスが分散化してより自宅に近いところを選べるようになると、通勤時間も短縮できますね。
さらに進めば都市部の人口集中も回避できて、さらに感染防止につながるかもしれません。

小出氏:

予期せぬ事態ではありましたが、今回のことで働き方やオフィスへの考え方は大きく進歩しました。
新型コロナ禍はもちろんですが、新型コロナが終息したあとも、それぞれに働き方を工夫しルール化することが大切だと思います。

そうですね。すべての人が手探りの状態ですから、自社にあった工夫とルール化、大切ですね。
今日は貴重なお話をありがとうございました。


対アフターコロナのオススメ情報

●Aller Clean+を採用したオフィスチェア
抗ウイルス・抗アレルゲンの機能を持つ生地「Aller Clean+(アレルクリーンプラス)」を使ったオフィスチェア・ミーティングチェア。


●セミオープンブース Quie(クワイエ)
吸音パネルと新素材の「調音材内蔵パネル」で耳にも心地よい、セミオープンなブース空間を提供します。


●UCHIDAのテレワーク・会議特集
テレワークでの働き方とオフィスは、これからどのように変化していくのか。オフィスづくりとICTソリューションの両面から、新しい働き方に関する情報を発信中。


3Dオフィスデザイナー
Facebook Twitter LINE