3Dオフィスデザイナー ユーザーサービス

大倉清教のオフィスデザインコラム「オフィスのプランは自分たちで創る!」

第8回「インフォーマルコミュニケーション」の活用

あらかじめ議題も参加者も決まっていて、準備や資料づくりに追いまくられる会議はフォーマルなコンセンサスを得るためには必要かも知れませんが、労力を無駄遣いが多く、またレジュメが配布されて進行が決められた連絡会や報告会は、情報が遅くて形式的になりがちです。

「インフォーマルコミュニケーション」=非公式な情報交換とは、偶発的な出会いの場において、自発的に参加した個人が場当たり的な話題について自由に自分の意見を言えるコミュニケーションのことです。

このような会話は、従来であれば仕事として認められることがなくて、どちらかと言えば雑談として禁じられていたのです。
しかしそれが近年、「インフォーマルコミュニケーション」を組織の知的生産性を高める重要な役割があることが認められ、積極的にその[場]が作られるようになってきました。


イメージ写真その理由は、何か行き詰まった時にブレイクスルーを生みだす力があるからです。
つまり新たな突破口となるひらめきなどは、事務室や会議室ではなく、カフェテリアや食堂で友人と会話しているときなどに同種の人間ではなく異なった立場や視点からの助言によって誘発されて、突然思いつくことが多いということです。

現代のように多様化した社会では、閉鎖的で専門的な壁を打ち破ることがあらゆる分野で求められていることに気がつくはずです。
役所では住民サービスの立場からワンストップサービスが要求され、大学においては学問領域を超えた研究が必要となり、病院においては診療科を超えたチーム医療が注目を集めています。

このような組織を超えた「インフォーマルコミュニケーション」によって、お互いの知識の範囲が広がり、専門分野の欠点をカバーし合い、新たな発想を触発することによって、今までにない新たなアイデアや企画を生み出すことができるのです。
これはコラボレーション(協創)とも呼ばれ、企業であれば知的資産の価値を高める非常に重要な仕組みであるという認識が高まっているのです。


イメージ写真「インフォーマルコミュニケーション」は、ネットワーク上でも可能ですが、親近感と信頼関係に裏付けされたフェイスtoフェイスの会話によって、さらに効果が高まります。
人々は、お互いの表情や話し口調によって確かめ合い、目の輝きや態度によってその熱意を感じ取ることができるものです。

企業の知的生産の場であるオフィスは、このような「インフォーマルコミュニケーション」を活性化することによって、そこで働くオフィスワーカーの自主性を尊重し、自発的な働きをするモチベーションを高めることができるのです。
このような人間本来の能力を引き出すことを目的としたオフィスは、個々の人間の自立性と協調性を信じて、情報の風通しを良くして、あそびやゆとりによって交流を促すことから始まるのです。

Kepla Design Studio 大倉清教

バックナンバー

大倉清教 写真
今週のひとりごと
著者プロフィール

大倉清教
(おおくら きよのり)

有限会社ケプラデザインスタジオ(Kepla Design Studio)代表取締役社長

これまでに約2,000件のオフィスプランニング、デザインを手掛ける。
現在、FMコンサルティングやインテリアプランニング&デザイン、家具デザインなど幅広く活躍中。

著書に「オフィスインテリアのプランニング&デザイン」(共著・KBI出版)「3Dオフィスデザイナー快適オフィスの作り方」(共著・アスキー)がある。


このページのトップへ