新オフィスの方向性について社内で話し合いもコンセンサスを得ることもなく、とにかく「いいオフィスをつくってください」とデザイナーやプランナーに任せてしまう。
デザイナーもプランナーもオフィスづくりの専門家ですから知識やスキルは充分に持っています。
発注者は提案書に添付された新オフィスのイメージイラストを見て、そこに描かれた「素敵な空間」に感動するかもしれません。
しかしその結果、「なんとなくしっくり来ない」、「かっこはよいけど使い勝手が悪い」ということになってしまいます。
少なくとも新オフィスのテーマとコンセプトは、自分たちで決めなければなりません。
そうしなければ、せっかく創ったオフィスの活用や新たな働き方への挑戦意欲も薄れ、組織、業務の変革もできないどころか不満ばかりが募ることになるのです。
自分たちの働き方」を全員で考え、決めてから、初めて空間作りの専門家に仕事を依頼する。これがオフィスづくりの鉄則なのです。
また、知識や熱意のある担当者は「できたら自分の手でオフィスプランを作りたいと思うでしょう。それは、非常に大切なことです。
エンドユーザーの要求を図面にする重要なプロセスは、通常は設計者の頭の中で処理されるので、「なぜそうしたのか」他人に説明もできないし、設計意図がくみ取れないので安易に変更してちぐはぐなオフィスになって行くことが多いのです。
オフィスづくりは基本的なプラニングルールさえ覚えれば難しくありません。
「右習え主義」や「前例主義」を脱して、失敗を恐れずに挑戦できる時代です。
ぜひ自分たちのオフィスは自分たちで作り上げるようにしていただきたいと思います。
そうすれば、自分たちのワークスタイルに最も適した効率的でユニークなオフィスができるはずです。
Kepla Design Studio 大倉清教
大倉清教 有限会社ケプラデザインスタジオ(Kepla Design Studio)代表取締役社長 これまでに約2,000件のオフィスプランニング、デザインを手掛ける。 著書に「オフィスインテリアのプランニング&デザイン」(共著・KBI出版)「3Dオフィスデザイナー快適オフィスの作り方」(共著・アスキー)がある。 |