ミュージックCDデザイナー ユーザーズ倶楽部
   
 

   プリセットを使いこなす        

 音楽CDやジュークボックスCDを作成するとき、楽曲データの音質を調整したいと思うときがあります。このようなときは、グラフィックイコライザーを使います。
  グラフィックイコライザーの使い方を覚えれば、曲を聴きやすくしたり再生する機器に合わせて音質を補正することができます。

  ミュージックCDデザイナー3のグラフィックイコライザーでは、プリセットパターンが用意されています。まずは、プリセットパターンの使い方を紹介しましょう。


無題
  グラフィックイコライザーの、全てのスライダーボリュームを0dBに戻します。[試聴]ボタンをクリックすると、グラフィックイコライザーがかかっていない状態の演奏を聴くことができます。
 

 



バスブースト  
  16〜250Hzといった低周波数帯域を増幅します。100Hz以下は、口径の大きなスピーカーで大音量で鳴らすと、部屋が振動する周波数帯域です。爆発音の地鳴りなどで迫力を出したいときにこの帯域を持ち上げます。
 

 

ミッドブースト
  250〜500Hzといった中周波数帯域を増幅します。ベースの重量感を出したいときには、この帯域のスライダーを持ち上げます。

 

 

トレブルブースト
  2〜8KHzといった高周波数肺息を増幅します。
  この帯域はきらびやかさに影響がある帯域で、60年代末から70年代前半のロックや50年代に録音されたクラシックなどアナログレコーディングされた、音がこもり気味の演奏にこのプリセットをかけるとハッキリとした音質になります。
 

 

バス/トレブルブースト
  低周波数帯域と高周波数帯域を強調するプリセットです。いわゆる「ドンシャリ」といわれる音質を作ります。ポータブルCDプレイヤーをインナーイヤー型ヘッドホンで聴く場合、低音と高音が強調されて迫力のある音になります。
 

 

クラシック
  250〜500Hzといった中周波数帯域を中心に、全体の帯域を少しだけ持ち上げます。
  デジタルレコーディングされたクラシックなどで、中音域を豊かに響かせたいときにこのプリセットを使います。
 

 

テレフォン、ラジオ
  音質の補正というよりは、意図的に電話の受話器やポータブルラジオで再生したような音質を作る場合にこのプリセットを使用します。



   使い方のポイント        


  楽器の音に影響がある周波数帯域は、例えばバスドラムの膨らみを出すには100〜200Hz、ベースの重量感を出すときには250〜800Hz、音のきらびやかさを出すには2〜8KHzといったぐあいにある程度の範囲を持っています。
  これは、楽器の音が複数の周波数の音が混ざり合った音で構成され、ある程度の音域で演奏するためです。また、楽曲ごとに使われている楽器や音色も異なっています。

  そこで、グラフィックイコライザーが効いていないフラットな状態から、試聴しながら各スライダーを動かし、強調したいあるいは抑えたい楽器の音質に一番影響があるスライダーを探しましょう。スライダーは左が低い周波数、右にいくほど高い周波数となっています。
  また、プリセットで大まかに音質を調整して、そこから自分なりにエディットする方法も有効です。

  このとき注意したいのが、250〜500Hzの中音域です。この周波数帯域には、ベース、ボーカル、エレキギターの低音弦のカッティング奏法などの帯域が一部重なっています。スライダーを動かすと一緒にこれらの音も増減してしまうので、アンサンブルのバランスが崩れてしまう可能性もあります。影響があるほかの楽器も聴きながらスライダーを調整するようにしましょう。
  なお、この中音域を下げると、カーステレオで再生したときにボコボコした共鳴が抑えられて聴きやすくなります。

  また、周波数帯域を強調した場合、曲全体の音量が上がってしまい一緒にCDに焼き込む他の曲とのバランスが悪くなってしまいます。そこで、グラフィックイコライザーを使った後に、[レベル調整]コマンドで音量レベルを揃えるようにしましょう。

  曲をよりよく聴かせるのもグラフィックイコライザー次第。かけ過ぎには注意して、ベストな音質でCD再生を楽しみましょう!

<木村公彦>

 
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