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大倉清教のオフィスデザインコラム「オフィスのプランは自分たちで創る!」

第10回 「経営資源」とオフィスデザイン

ますます競争が激化するビジネス環境において、企業がもっとも注力すべき経営資源とは何かが、今まさに問いただされています。

従来の企業は、事業拡大が最優先課題であり、それを支える人(労働力)や物、お金、情報システム等を経営資源としていました。
そのためファシリティなどの資産や販売網を拡大することに勢力を費やし、同時に利益極大化と経営効率化を際限なく図ってきたのです。

イメージ写真しかし、そこで働く人々は雇用不安と仕事に追われるストレスに疲弊し、本来の能力を発揮することができなくなり、有能な人材がそのような企業を離れてゆく現象が急激に進展しています。
これからの企業にとって、効率だけを優先した経営を見直し、人間個人の感性による創造的な「知恵」の重要性を見直し、「協業」によって事業に役立てる「場」こそがもっとも重要な経営資源となっていることを認識しなければなりません。


「ひとが経営資源」とよく言われますが、本当に人間のことを考えた環境を提供しているのでしょうか? 知恵が価値を持つ時代にあって、もっとも企業にとって価値のある人材を閉じこめてしまってはいないでしょうか?働きやすい環境を作り、お互いに刺激しあう場を作ることによって、良い人材が集まり、モチベーションを高めることができるのです。

知恵や独創的なひらめきを生み出す環境とは、決して効率だけを優先した環境からは生まれません。そして突然のひらめきは生身の人間の頭脳から発せられるものだということを忘れてはいけません。
人間本来の誇りを大切にし、信頼関係によって結ばれた「場」から、結果的に創出されるものなのです。


イメージ写真画期的なアイデアや独創的な考え方は、そこにいたるまでの全く一人ということはあり得ません。社内外のブレーンとのインフォーマルな関わりが、突然のひらめきを生み出すのです。
そのような「場」を如何にたくさん持っているかが、企業の発展を左右することになります。

このようなコラボレーションには、お互いの本音を確かめ合うことによる信頼関係が必要であり、互いに理解し合うことによって知識や経験を共有し、互いの個性を尊重することで異なった観点から刺激を求め合い、互いの長所を利用し短所をカバーすることによってよりチームとしての能力を発揮するのです。

そのための「場」にはフェイスtoフェイスのコミュニケーションがもっとも効果的です。
また、企業がその「知恵」を共有資源として利用するには、対立する意見を説得し、不完全な部分を補完することによって、事業として成立させる「コンセンサス」を得る必要があります。

このようなコンセンサスもコラボレーション(協業)によって生み出されるのです。
そしてスピーディで重要なコンセンサスを得るにもフェイスtoフェイス「場」が必要です。


ようするにオフィスが必要なのは、そこでひらめきを生み出し、コンセンサスを得て事業として展開するためにフェイスtoフェイスの「場」を必要としているからであり、その機会創出の可能性とコンセンサスのスピードが企業価値を左右する時代になっているのです。

いよいよ人間主体の考え方によるオフィスデザインの重要性と真価が問われる時代になってきたのです。

Kepla Design Studio 大倉清教

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著者プロフィール

大倉清教
(おおくら きよのり)

有限会社ケプラデザインスタジオ(Kepla Design Studio)代表取締役社長

これまでに約2,000件のオフィスプランニング、デザインを手掛ける。
現在、FMコンサルティングやインテリアプランニング&デザイン、家具デザインなど幅広く活躍中。

著書に「オフィスインテリアのプランニング&デザイン」(共著・KBI出版)「3Dオフィスデザイナー快適オフィスの作り方」(共著・アスキー)がある。


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